外国語を喋れるようになりたい!
そんな人たちに注目されているのが、スピーキングの練習をする前に、ひたすらインプットし続けるのが特徴の「イマージョンラーニング」という学習方法です。
今回は、そのイマージョンラーニングの肝であるインプット部分の勉強法『アクティブイマージョン』について紹介したいと思います。
アクティブイマージョンでは、特定の領域において、言語レベルをレベル5まで上げることを目標として取り組んでいきます。
※レベル5以上はスピーキングの訓練(別記事掲載予定)にまとめる予定です。
レベル1,2 〜 レベル5までを対象にした学習方法になります。
参考 https://refold.la/simplified(※英語のサイトです)
アクティブイマージョンとは?
イマージョンラーニングは大きく2つの勉強方法に分解できます。
- アクティブイマージョン(コンテンツに集中して取り組む)
- パッシブリスニング(リラックスしてコンテンツを聴く)
ストレスが少なく外国語をマスターできるのが魅力のイマージョンラーニングですが、アクティブイマージョンは忍耐・努力が必要になってきます。
具体的に何をするかというと、圧倒的な量のリスニングとリーディングです。
アクティブイマージョンの実践では英語を一切しゃべらないのです。(まだ喋ってよいレベルに達してない)
英語を喋りたいならリスニングはまだわかるけど、リーディングって必要なの?
リーディングがスピーキングへ以下のような効果があります。
- リーディングで語彙をインプット
- リスニングの時にわかる語彙が多くなる
- リスニングで正しい発音を認識できるようになる
- リーディングの読むスピードも速くなる(語彙のインプットもUP)
- アクセントも改善される
- アクセント改善によってスピーキングの能力が向上する
特に大人であれば、生きてきた知識があるためリーディングが強い傾向があります。それを活用する方がスピーキングの成長に繋がるのです。
このように集中して「聴く」「読む」を実践することを、アクティブイマージョン(active immersion)と呼んでいます。
このアクティブイマージョンがイマージョンラーニングで最も重要なパートとされており、筆者が実践した肌感としても、アクティブイマージョンの質が成長に比例しているように感じました。
ながらリスニングだけだと上達しないんですね。
結局、嫌なことに耐えながらすることになりそう…
嫌なことに耐える!というのは大きな誤解です!
日本人がイメージしやすいリスニングやリーディングは、学校でやった教材ベースの勉強をイメージしがちだと思います。
しかし、イマージョンラーニングでは、自分が好きなコンテンツを教材とします。
アクティブイマージョンでもご自身の好きな教材を使うので、挫折しづらく長期的にみると成果が出やすいのです。
では、アクティブイマージョンで使うおすすめコンテンツについて説明します。
アクティブイマージョンでのコンテンツの選び方
イマージョンラーニングでは英語を楽しむことが最重要ポイントになります。
そこで、自分が視聴したいYoutubeやNetflixなどの動画・映画や、ポッドキャストをはじめとする無料音声配信サービスを教材として使用します。
興味のないコンテンツで勉強すると苦痛ですが、これなら継続できそうですよね!
ただし、闇雲に自分の好きなコンテンツを選ぶのではなく、以下のポイントを抑えてコンテンツを選びましょう。
- ドメイン(ジャンル、カテゴリ)を絞る
- 自分の適正レベルのコンテンツを選ぶ
イマージョンラーニングが初めての人が一番注意すべきポイントは『ドメイン』です。
ドメインとは「領域」という意味の単語になりますが、日本人的には「ジャンル」や「カテゴリ」などでイメージするとわかりやすいです。
例えば、選んだコンテンツが「アクション系」「ラブコメ系」「医療系」など相関性の低いものを選んでしまうと成長率が低いです。
逆に同じドメイン内で選ぶことで、同じ単語や表現が反復される確率が高くなり、より理解しやすく頭に残りやすくなります。
まずはある特定のドメインばかりやり込みます!
また、医療系や法律系などのドラマや映画は多いですが、表現が難しく専門用語も多いのでおすすめできません。初心者ならばシットコムやラブコメ系などを選ぶのが良いでしょう。
特にシットコムでは日常会話が中心になるので、「英会話がしたい!」と思っている人にはおすすめです!
アクティブイマージョンの簡単学習ステップ
ここではNetflixで動画視聴する場合を例にして、学習ステップを紹介します。
①Netflixで動画視聴する
自分が気に入ってレベルに合ったコンテンツを1つ選びます。
そして、可能な限りセンテンス毎にしっかりとリスニングを進めます。
最初は一発で聞き取るのは難しいと思いますが、何度も何度もセンテンスを繰り返して聴き取れるように努力します。
自分の好きなドメインを選んでいることにより、知識があってストーリーが推測しやすいと思うので、それらをフル動員して頑張ります!
わからなさすぎて嫌になってしまうなら、英語コンテンツのレベルを下げてしまいましょう。
センテンスマイニングした単語や文章を復習する
動画視聴中にわからなかった単語やセンテンスは、Ankiなどのアプリに保存して復習を行います。
わからない部分が多いと、復習量が多くなって嫌になって辞めてしまうケースが多いので、新規保存はほどほどで良いです。頻出するフレーズや単語、または自分が使いたいものだけピックアップするので良いと思います。
しかし、毎日最低でも10個はリストアップするように心がけましょう。
可能であれば単語は「音から意味を理解できる」という覚え方をしていくと良いです。文字から意味を理解できても、聞き取ることができませんからね。
\センテンスマイニングの詳細解説/
【ここからが本題】アクティブイマージョンの詳細学習方法
アクティブイマージョンの概要や簡単な勉強方法は紹介しました。
しかし、実践し始めると多くの人が、
本当に動画視聴だけで良いのか?
もっと効率の良い方法があるのでは?
など、一般的に紹介されているアクティブイマージョンの説明がかなり抽象的なこともあってか、自分の学習方法に疑心暗鬼になるタイミングが来ると思います。
そこで、
もう少し深掘りしてアクティブイマージョンを解説します。これを理解していただくことで、より自分に合った学習方法を再発見する手助けができればと思います。
今のアクティブイマージョンに自信を持てない人は以下も読むのがおすすめです!
アクティブイマージョンを細かく分解するとこうなる
アクティブイマージョンを日本語で表記したらこんな感じです。
「アクティブイマージョン」という名前が、すごく革新的な感じがしますが「精聴」「多聴」「精読」「多読」をバランス良く組み合わせた学習方法と呼べると思います。
そして、アクティブイマージョンには、インテンシブイマージョン(Intensive Immersion)とフリーフローイマージョン(Free-Flow Immersion)の大きく2項目に分類することができます。
早速、各々の学習方法やポイントについて解説していきます。
インテンシブイマージョン(Intensive Immersion)
インテンシブイマージョンとは、一言一句100%理解して進める学習方法です。
わからない単語はもちろん、読解できない文法まで調べ切ります。
この方法でリスニングやリーディングをする事で、単語量が増え、文法を理解できるようになります。文章を分解して思考し、理解していく地道な作業になります。
個人的にめっちゃ辛いです…
文章が難しすぎる場合や、わからない単語が多い場合はスキップしてもOK!
少しづつ頑張りましょう!
インテンシブイマージョンのやり方
本など文字媒体のコンテンツではなく、テレビ番組や動画といった映像媒体のコンテンツを選びます。
基本的な方法は、セリフの前後で一時停止し、その文章を読んでから再生を続けるというものです。
音声と字幕が一致するまで、何度も何度も繰り返しリピートします。
また、わからないセンテンスが出てくると都度調べて、調べた単語や文章を学習アプリなどに保存していきます。
この作業がかなり辛いです。。。
最初は何も聴き取れず、かなり字幕に頼る状態が続きますが、何度もトライしていく内に正確に喋っている内容が理解できるようになってきます。
※僕が実践してみた感覚ですが、同じエピソードを繰り返して暗記するレベルでやりこむ方が効果が高いように感じました。めちゃくちゃ飽きますけどねw
これをひたすら続けていくと…
字幕を読みこんでいた「精読」から、字幕なしでも繰り返し聴けばわかってくる「精聴」ができるように徐々に進化していきます。
この苦行を耐えるための最重要項目は、繰り返しになりますがコンテンツの面白さです。
誰かに与えてもらったコンテンツではなく、自分が楽しいと思えることが最も大事になります。
さらに、以下の項目を抑えてコンテンツを選定しましょう。
- 理解しやすいコンテンツ
- 十分な言語量があるコンテンツ
音声と字幕が一致しているドラマ、ネイティブの簡単な会話が中心となるテレビ番組、7歳から15歳向けの番組など、比較的理解しやすいコンテンツでおすすめです。
また、幼児向けの番組やアクション中心の映画など、使用している語彙数が少なく簡単すぎる単語ばかり出現したりとレベルが低すぎる場合があり避けた方が良いでしょう。
学力とコンテンツの難易度がマッチすれば最善ですが、まずはコンテンツの面白さを重視することを忘れないでください!
LingQ、Language Reactor、Lingopieなどのツールを使うことで、効率よく調べ物ができてインテンシブイマージョンが捗ります!
※僕はLanguage Reactorを使用していますが、
- 文章のリピート機能
- わからない単語や文章のブックマーク
- Ankiへのエクスポート
などの機能を活用してインテンシブイマージョンを行なっています。
フリーフローイマージョン(Free-Flow Immersion)
フリーフロー(自由な流れ)イマージョンはある程度わからない部分(曖昧な部分)はわからない事を受け入れてしまい、次々と進んでいく方法です。
フリーフローでは速いスピードは重要ではなく、自分が快適だと感じるスピードで進めます。
その際、理解できない文に遭遇した時にいつまでも停滞するといった、流れを壊すような事をしないように注意しましょう!
わからないならそれで良いのです!
フリーフローイマージョンを続けることで無意識で英語をそのまま理解することができるようになります。
英語を英語のまま理解できる!という感じです。
ただし、インテンシブイマージョンで蓄積した知識があることが大事なのは肝に銘じておきましょう。
フリーフローイマージョンのやり方
フリーフローイマージョンは、最初は多読から始まり徐々に多聴に切り替わっていくというイメージで進めるのが良いと思います。
インテンシブイマージョンと同じドメインから、自分が好きなコンテンツを選び、字幕をつけ、視聴コンテンツをあまり止めず、流れるがままに読んでいくのがフリーフローイマージョンの基本です。
字幕をひたすら読んでいくという感じですか?
そうです!
しかし、ただ字幕を読んでいくのではなく、音声と字幕が一致しているのを感じながら読み進めるのが良いでしょう。
リーディング中心の学習を積み上げてきた人の中には、音声のみだと何を言ってるかわからないが、字幕があれば聞き取れるし意味もわかる!というパターンの人は多いです。
知識はあるけど聞き取れない。
これは、正しい音声を知らないからです。
多読を繰り返すことで、徐々に正しい音を脳に刷り込んでいく事ができます。
ちなみにインテンシブイマージョンをしっかり出来ている程、成長も早いです。
ある程度聞き取れるようになってくると、字幕をつけずに視聴することにチャレンジしていきます。
字幕があれば音声を正確に理解するのに役立ちますが、音声を分析する思考力が養われづらかったり、コンテンツが楽しめないと感じる人もいます。
ご自身のレベルが高くなれば字幕なしで視聴しても、流れを遮るような箇所は少なくなってきているので問題ありません。
最初は「多読」をしていたはずですが、徐々に「多聴」のトレーニングに変化していきます。
同じドメイン内で出来る限り多くのコンテンツを多聴してください。
時間はかかりますが、精聴しているのと同じレベルで聴き取れるようになります。そのタイミングでコンテンツの難易度を上げたり、勉強するドメインを変更しましょう。
注意点ですが、
簡単に聴き取れるのが心地良くなって、同一レベルのコンテンツに停滞しないように気をつけてください。
実体験として、苦痛が増すのが嫌でレベルの難化を避けた時期がありましたが、その間は全く成長しませんでしたorz
パッシブイマージョンとの違いは?
フリーフローイマージョンの学習方法を読んだ読者の方の中には、
パッシブイマージョンと何が違うの?
こう思った人もいると思います。
まず、イマージョンラーニングには「アクティブイマージョン」と「パッシブイマージョン」の大きく2つに分けることができます。
集中してコンテンツに取り組むアクティブイマージョンに対し、パッシブイマージョンはリラックスしてコンテンツを聞く勉強法です。
内容はかなり似ていますが『パッシブイマージョンのコンテンツは、アクティブイマージョンで使ったコンテンツを使用する』という部分が大きな違いかなと思っています。
また、フリーフローイマージョンの方がより集中して読み取りにいくイメージですね。
あまり違いを意識する必要もないでしょう。
どちらも英語の流れを意識して楽しめば結果はついてきます!
インテンシブイマージョンとフリーフローイマージョンの学習計画
同時に進めていく
インテンシブイマージョンとフリーフローイマージョンは同時に練習していきます
また、選んだコンテンツは同じドメイン内(カテゴリ、ジャンル)でなければなりません。
ドメインが同じであれば、使う単語や文章・表現が重複したり似ていることが多くなります。
こうすることで、インテンシブイマージョンで培った知識を早く、フリーフローイマージョンで実践できるので習得率アップが見込めます。
例えば、「フレンズ」と「ママと恋に落ちるまで」の2作品を選ぶのは良い例です。
これらは、同じシットコムのドメインであり、ニューヨークが舞台であり、ロマンティックコメディであるなど、共通点がとても多いためです。
インテンシブイマージョンはフリーフローイマージョンより時間が必要になります。
フリーフローイマージョンでは多くの作品を消化します。その際、できるだけドメインが変わらないように注意しましょう。
全然関係ないジャンルを選びたくなったりするけど、遠回りになってしまいます。
インテンシブ30分、フリーフロー90分
インテンシブイマージョンは1日30分が目標、フリーフローイマージョンは残った学習時間を割り当てましょう。
イマージョンラーニングは最低でも1日2時間やってください!
ちなみに、
インテンシブイマージョンの1日30分は簡単なようでめちゃくちゃ大変です。
最初は30分も集中力がもたないので、10分からスタートしても大丈夫です。徐々に1日30分できるようになるまで増やしていきます。
最終的にはインテンシブとフリーフローが同じ状態になります
インテンシブイマージョンとフリーフローイマージョンの勉強方法や学習比率について紹介しましたが、最終的にはネイティブのように素早く正確に理解できるようになります。
インテンシブイマージョンをやってるつもりでも、全く調べる必要がなくなり、スラスラ進む状態になります。
フリーフローイマージョンと同じ状態になってますねw
さらなるステップアップを目指したい人へ
アクティブイマージョンを実践していると、どんどん英語が聴き取れるようになっている事を実感してくると思います。
少し物足りなくなってきたけど、まで英語が頭の中でスラスラ出てくる感じはないな…
テレビや動画コンテンツは聴き取れるようになってきたけど、まだ自信がないという人向けに少しレベルアップさせたアクティブイマージョンを紹介します。
ピュアリスニングに挑戦する
ピュアリスニング(Pure Listening)とは読んで字の如く純粋に聴くだけにします。
今まで使っていたテレビや動画コンテンツは以下の3つの要素から情報を取得できました。
- 映像からの情報
- 音声からの情報
- 文字からの情報(字幕ありの場合)
これら複数の情報源があることで、ストーリーが想像しやすいなどリスニングをサポートする役割を担ってくれていました。
そのサポートを取っ払いましょう。
音声からの情報のみに絞ってアクティブイマージョンを行うのです。
ラジオドラマやポッドキャスト、一人語りするタイプのYoutube動画やTED Talks のようなスピーチ動画を音声のみで楽しんでみてください!
生活で使う日本語を英語に移行する
英語をそのまま理解するトレーニングとして有効なのが、自分の目にふれる日本語を英語にしてしまう事です。
例)
- 単語を調べるときに英英辞書で調べる
- スマホの画面を英語仕様にする
特に英英辞書を使って調べたり、センテンスマイニングも英語で完結させてしまうと良いでしょう。
初めて単語カードを作成する時、とても面倒で辛いと感じますが、丁寧に1枚づつ作っていくのがポイントです。
基礎ができていないと、強い苦痛を感じたり、間違った解釈をしたり、遠回りとなってしまうこともあるので注意してください。
まとめ
本記事ではアクティブイマージョンとは何か?また、そのやり方について解説してきました。
この記事の内容を複数ドメインで実践できれば、あなたはもうレベル5に到達しているはずです!
レベル5まで到達したら、次はいよいよスピーキングの練習です!!
最後に、アクティブイマージョンのような「精聴」「多聴」「精読」「多読」を組み合わせて勉強することは昔から王道とされていました。しかし、多くの人たちが挫折してきたのです。
結局、自分が楽しいと感じるを最重要視することが、アクティブイマージョンで一番新しい部分であると思っています。
アクティブイマージョンなら、私でも楽に英語を喋れるようになるかも…
このようイメージしてしまう人は多いと思いますが、残念ながら地道な努力は必要不可欠です。
しかし、効果が高いと言われている教材よりも、自分が好きで無意識で没頭してしまうコンテンツの方が成長が早いということです。
勉強法は革新的な印象はあまりなかったのですが、多くの情報にアクセスできる時代が来たからこそ、このような学習方法が生まれてきたのでしょう。
本当に良い時代になりましたね!
以前に英会話を挫折してしまった人、もちろん高齢な方でもできるようになりますよ!